ワイン議論

酸化防止剤(亜硫酸)無添加ワインは良いワイン?悪いワイン?

どうも、ワイン兄さんです!

あなたは「亜硫酸」って知ってますか?

ワインの裏ラベルを見てみて下さい。

酸化防止剤(亜硫酸塩)って書いてありませんか?

亜硫酸はワインに用いられる食品添加物であり、ほとんどのワインに添加されています。

酸化防止剤(亜硫酸塩)

一方で、最近スーパーのワインコーナーに行くと「酸化防止剤(亜硫酸)無添加ワイン」なるものが陳列されているのをよく見ます。

酸化防止剤無添加ワイン

「食品添加物である亜硫酸が無添加のワインを作れるなら、なんで多くのワインで亜硫酸を添加してるの?」

「全部亜硫酸無添加ワインにしたらダメなの?」

って思いませんか?

この記事では、つい最近講義で亜硫酸について改めて勉強した僕が、亜硫酸についてまとめました。

亜硫酸をよく知らない人、酸化防止剤無添加ワインをよく飲む人にぜひ読んでもらいたいと思います。

こ難しい話はちょっと...という方は途中読み飛ばしてガンガン進めちゃって下さい。

Contents

亜硫酸って何?

二酸化硫黄(SO₂)がガス状のとき亜硫酸ガスと呼ばれ、水に溶解するとH₂SO₃となり亜硫酸となります。

S(硫黄)+O₂(酸素)、つまり硫黄の酸化物質です。

ワイン醸造においては、亜硫酸は二酸化硫黄(SO₂)を指すことが多いので、以下そのように考えてもらえればと思います。

ラベルの記載の通り、亜硫酸は酸化防止剤としての役割をもっています。

しかし、ワイン醸造中においては、亜硫酸は様々な形態で存在し、その形態ごとに果たす役割が違います。

・分子状SO₂

・亜硫酸水素イオン(HSO₃⁻)

・亜硫酸イオン(SO₃²⁻)

・結合型亜硫酸

・(4種類合わせて)総亜硫酸

様々な形態とはこれらのことであり、その形態に大きな役割を与えるのがワインのpHです。

ワインのpHはおよそ3~4程度で、この範囲で亜硫酸がとる形態は分子状SO₂とHSO₃⁻がほとんどであり、SO₃²⁻は無視できる程度です。

pH 亜硫酸 形態

結合型亜硫酸はHSO₃⁻の一部がワイン中の成分と結合したものです。

結合していないHSO₃⁻を遊離HSO₃⁻と呼び、分子状SO₂(遊離SO₂ともいう)と合わせて遊離型亜硫酸といいます。

亜硫酸 状態

では、それぞれの形態がどんな役割を果たすのか見ていきましょう。

亜硫酸の効果

亜硫酸の添加により得られる効果としては、大きく分けて3つあります。

・抗菌作用

・抗酸化作用

・ワイン中成分との結合

では、それぞれ見ていきましょう。

抗菌作用

抗菌作用を示すのは遊離SO₂です。

遊離SO₂は菌体内に侵入でき、体内でエネルギー産生を阻害することで、菌を生きていけなくするというわけです。

抗菌の効果が得られる遊離SO₂濃度は0.5~0.8 mg/L とされています。

ここで、非常に重要なのがpH

遊離SO₂濃度を0.8 mg/L としたいとき、

pH 3.0 ならば遊離型亜硫酸として13 mg/L あれば良いが、

pH 3.8 のとき遊離型亜硫酸として79 mg/L も必要になる

という実験結果があります。

つまり、抗菌作用を十分に得たいとき、pHが高いと大量に亜硫酸を添加しなきゃいけないというわけです。

抗菌作用を得るために亜硫酸を添加するタイミングとしては、

・酵母を入れてアルコール発酵させる前

・アルコール発酵やマロラクティック発酵を終了させたいとき

というのが一般的でしょう。

アルコール発酵前に悪さをする細菌等に対して、

発酵している酵母や乳酸菌に対して、

抗菌作用が発揮されます。

アルコール発酵のために入れる酵母はある程度の亜硫酸耐性をもっているため、最初に亜硫酸を入れても、一定のレベルまでは死滅することはありません。

抗酸化作用

ワインが酸化すると起きることといえば、

・色の褐変化

・酸化臭(シェリー・マディラ等)の生成

です。

酸化

褐変化には、酵素が関与する酵素的酸化と、酵素が関わらない非酵素的酸化があります。

酵素的酸化の場合、遊離HSO₃⁻が酵素の活性を阻害してくれ、非酵素的酸化の場合、遊離HSO₃⁻が酸化した物質を還元してもとに戻してくれます。

また、遊離HSO₃⁻はワインに溶けている酸素、遊離SO₂は空気中の酸素と反応して酸素を消費してくれます。

ワイン中成分との結合

ワイン中には

・アントシアニン(色素成分)

・グルコース(糖)

・アセトアルデヒド(酸化臭のもと)

等が入っています。

遊離HSO₃⁻は、これらの物質と結合します。

アセトアルデヒドと結合してくれれば、酸化臭がなくなりフレッシュな香りが戻ってきますが、アントシアニンと結合すれば減色することもあるため、メリットばかりではないです。

なぜ酸化防止剤(亜硫酸)無添加ワインなの?

さて、亜硫酸の効果について説明をしましたが、あなたはどう感じましたか?

pHに気を付ける必要があったり、デメリットがないわけではないけども、基本的にはメリットが大きいんだな、ってところでしょうか。

それでも、亜硫酸無添加ワインが存在し、それなりに需要があるわけです。

なぜなのでしょう?

亜硫酸が人体に及ぼす影響

よく言われるのが、頭が痛くなるでしょうか。

確かに、高濃度だと目・鼻・のど・気管支等に刺激を与え、苦しくなると言われていますし、頭痛をおぼえる方もいるでしょう。

(実際は、頭痛の原因は乳酸菌が作るアレルギー物質であるという研究結果がある。)

ワイン中に多く残っていると、刺激臭がしたり、むせてしまって咳が出たりすることがあります。

頭痛い

海外の安いワインとかだとたまにありますよね。たま~にだけど。

酸化防止剤(亜硫酸)無添加ワインの作り方

亜硫酸は、10 mg/L を超えるとラベルに表示する義務があります。

つまり、酸化防止剤無添加ワインとは亜硫酸の含有量が 10 mg/L 未満ということです。

この条件をクリアするために、

・果汁を冷凍保存して輸送

・加熱殺菌

・ハイパーオキシデーション

・できる限り酸化させないようにする

といった方法が主に採られています。

大手ワイナリーの酸化防止剤無添加ワインは、海外からの輸入果汁を使っていることがほとんどですが、このとき冷凍して輸送することで、鮮度を維持するということです。

また、通常高価なワインでは果汁やワインを加熱殺菌することはないのですが、加熱殺菌することで雑菌を除きます。

ハイパーオキシデーションは、果汁にあえて酸素を大量に吹き込むことで、将来酸化の原因となる物質を酸素と結合させ、先に取り除く手法です。

他に、醸造中に窒素やCO₂で酸素を追い出し、できる限り酸化させないという方法もあります。

これらの技術を駆使して、酸化防止剤無添加ワインは製造されるのです。

亜硫酸“0”ワインは存在しない

亜硫酸は添加していなくても、亜硫酸の濃度が 0 mg/L のワインは存在しません。

なぜなら、アルコール発酵を行う酵母が自ら亜硫酸を生成するからです。

使う酵母にもよりますが、10 mg/L 前後の亜硫酸はどうしても生成されるようで、これを解決するために、酵母選びを工夫したり、濾過をゴリゴリに行うことで、なんとか亜硫酸の含有量を 10 mg/L 未満に抑えているのです。

それでも亜硫酸を添加する理由

ここまで読んで、あなたはどう感じましたか?

確かに、高濃度だと人体に影響を及ぼす可能性があるし、何より食品添加物なんですよね、亜硫酸って。

それでも、多くのワイナリーで酸化防止剤として亜硫酸は添加されています。

なんででしょう?

亜硫酸無添加で品質管理は難しい

ブドウを収穫して潰し、白ワインなら果汁を絞って、そこに酵母を入れて発酵させる。

この間に、細菌や悪い酵母に汚染されるリスクがある。

発酵が終わったら、多くのワインはタンクや樽で貯蔵・熟成される。

瓶詰めされたとしても、消費者の手にすぐ渡ってすぐ飲まれるとは限らず、場合によっては何年も熟成させる。

しかし、ほとんどのワインは加熱殺菌せず、風味を損なわないようにするため濾過も加減をするし、無濾過なんてこともある。

つまり、ワインの製造工程、それから消費者が飲んでしまうまで、品質を劣化させる要因なんていっぱいあるんですね。

これを、健全なブドウを使ったり、果汁をキレイに保ったり、温度管理に気を配ったり、酸素を出来る限り排除したり...

そのうえで適量の亜硫酸を添加して、高品質を維持しているのです。

ワイナリーの方々は凄まじい努力をしているわけです。

亜硫酸添加量は法律で定められている

高濃度では人体に影響を与え得る亜硫酸。

法律で上限値が定められています。

日本では、全ての形態を含めた総亜硫酸の濃度の上限値が 350 mg/L

オーストラリアやチリ、ニュージーランドでは 250 mg/L

EUでは、赤ワインで 150 mg/L 、白・ロゼワインで 200 mg/L

EUのオーガニックワインでは、赤ワインで 100 mg/L 、白・ロゼワインで 150 mg/L

ちなみに、これらは辛口ワインの上限値であり、甘口の場合もっと上限値が高く設定されています。(糖が結合しやすいため)

もちろん、これらの上限値は人体に影響を及ぼさないように計算されたうえで設定されているので、基本的に心配する必要はありません。

どんなに“良い”ワインにも亜硫酸は入っている

1本数万~数十万円するようなワインだって亜硫酸入ってます。

不思議なことじゃないんです。

生産者は添加量を減らす努力をしてる!

それでも、生産者の方々は亜硫酸の添加量を抑えるために様々な努力をしています。

上限値が設定されているとはいえ、そんなの関係ないくらい、もっと減らす工夫をしています。

ワイナリー 樽貯蔵

実際に、この前日本の某大手ワイナリーMでお話を伺った際には、白ワインで50~60 mg/L 、赤ワインで多くとも80 mg/L 程度に抑えるようにして、亜硫酸を添加しているとのことでした。

350 mg/L ですよ、日本の上限値。

まとめ

亜硫酸についてつらつらと書いてみました。

あなたはどう感じましたか?

僕は、ワインに酸化防止剤として亜硫酸を添加することに賛成です。

そして、これからも気にせず飲み続けます。

様々な努力により酸化防止剤無添加ワインは造られています。

どうしても亜硫酸の刺激に敏感な人、どうしても食品添加物が受け入れられない人にとっては素晴らしい商品かと思います。

でも、これらのワインって海外からの輸入果汁(濃縮還元)を使っていることがほとんどなんですね。

つまり、極端なことを言えば、❝ブドウジュースのお酒❞とも言えます。

また、しっかり濾過をしたり加熱殺菌をすることで、風味や味わいが失われるということもあると考えられます。

もし、それでも無添加ワインがいいと思うなら全く問題ありません。

色々言ったものの、無添加ワインも、メーカーの努力によって安いのにクオリティが高いものもいっぱいあります。

それが好きというのなら全然構わないのです。

ただ、亜硫酸を正しく知った上で、選択をして欲しいなと思ってます。

食品添加物ではあるけれど、ちゃんと意味があって、必要最小限になるように添加されていることを知ってもらえれば、と思います。

おわりに

僕はあまり酸化防止剤無添加ワインを飲んだことがありません。

しかし、この記事を書くにあたって少し調べてみたら、想像以上に、日本のメーカーも様々な無添加ワインを販売していることを知りました。

【例えば、こちら。↓】

なので、どなたか美味しい無添加ワインを知ってたら、Twitterリンクからとぶか、コメントにて教えて下さるととても嬉しいです!

よろしくお願いいたします!

これからも美味しい日本ワインを紹介していきたいと思います!

引き続きよろしくお願いいたします!

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