ワインを評価する方法は様々あるかと思います。
その1つとして、「コンクール」で入賞歴のあるワインかどうかは、そのワインを評価する1つの分かりやすいステータスになるのではないでしょうか。
もちろん、コンクールで評価されるワインが全て良いワインというわけではなく、これについては様々な意見・考え方があろうかと思います。
また、コンクールにも大小様々な規模のものが存在し、胡散臭いものも時々見受けられます...
ただ僕が思うに、少なくとも知名度のある“ちゃんとした”コンクールで入賞するようなワインは、何か引っかかる特徴があるんだと思います。
そこで!
あなたは、「日本ワインコンクール」というコンクールが存在することを知っていましたか?
今回この記事では、「ちゃんとした」、日本ワインのみを取り扱うコンクールとしては最大規模にして最も知名度が高いであろう(ワイン兄さん調べ)「日本ワインコンクール」についてご紹介します。
日本ワインコンクールを知らない方、何を基準に日本ワインを選んだらいいか分からない方はぜひご一読下さい!
Contents
Japan Wine Competition(日本ワインコンクール)とは
僕なりにざっくりと概要をまとめると、
☑1年に1回山梨で開催される❝日本ワイン❞のみのコンクール。
☑コンクールの開催目的は、「国産原料ぶどうを使用した日本ワインの品質と認知度の向上を図るとともに、それぞれの産地のイメージと日本ワインの個性や地位を高める」こと。(ホームページより)
☑毎年7月中旬~下旬にかけて審査会が行われ、7月末頃結果発表がある。8月下旬~9月頭頃に、表彰式及び金賞・銀賞受賞ワインの公開テイスティングが行われる。
☑審査は、ボルドー大教授やマスターオブワイン(MW)を始めとしたワインに関わる海外の著名な人物や、日本のワイン業界をけん引する第一人者の方々により、ブラインドで厳正に行われる。
☑色、香り、味、ハーモニー等の各項目により、20点満点で採点される。
☑2019年度の総出品ワイン数は788。
☑入賞には「金賞(部門最高賞含む)・銀賞・銅賞・奨励賞・(コストパフォーマンス賞)」といった種類がある。
といった感じでしょうか。
個人的には、審査員の豪華さが半端ないと思ってます。笑
全員素晴らしい方なのですが、特にこの方は!って方を紹介します。
審査員❶ボルドー大学ワイン教育部長「ジル・ド・ルベル」氏
世界中のワインメーカーもしくはワインメーカーを志す人をグローバルに受け入れ、トップクラスのワイン教育を施すことで有名なボルドー大学のお偉いさんです。
ひと昔前の、日本人のワインメーカーがワイン留学の留学先として選ぶ大学1位とかじゃないでしょうか。もしかしたら、ルベル先生の教えを受けている方が日本のワイナリーである程度いらっしゃるのではないでしょうかね。
また、毎年日本ワインコンクールの時期に合わせて、山梨大学で「山梨大学国際ブドウ・ワインセミナー」も開催されてます。
僕も受講したことがあるのですが、県内のワイナリーの方々も大勢いらっしゃっており、とても充実した内容になってます!
審査員❷酒類総研理事長(審査委員長)「後藤 奈美」氏
日本において、ワインに関する研究論文を出してる数がトップクラスである方々の1人です。
日本の酒類業界を引っ張る酒類総研の理事長であり、ワインについても、日本国内でトップクラスの有識者ですね。
審査員❸山梨大学ワイン科学研究センター センター長「奥田 徹」氏
日本で唯一のワイン専門教育機関である山梨大学ワイン科学研究センターのセンター長で、日本ワインコンクール実行委員会の会長です。
僕の研究室の直属のボスというわけではありませんが、所属するセンターのボスということになりますね、えぇ。
日本におけるブドウ・ワイン研究者の中でも、やはりトップクラスの方だと思いますし、その上教育者としても素晴らしい方だと個人的には感じています。
普段からお世話になっております。笑
・・・
他の審査員の方々も、ワイン業界の超一流が集まっているので、コンクールの質という意味では担保されているのかな、と感じます。
次に、それぞれの賞について簡単に説明していきます。
金賞
20点満点の審査において、「17.0点以上を標準とする各部門エントリー数の3~5%相当」が金賞ワインとなります。
例えば、去年の結果を見ると、「甲州」部門において、136点のエントリー数のうち5点が金賞を受賞してますね。
銀賞
20点満点の審査において、「15.5点以上17.0点未満を標準とする各部門エントリー数の10~15%相当」が銀賞ワインとなります。
去年の結果を見ると、「甲州」部門において、136点のエントリー数のうち24点が銀賞を受賞しています。
銅賞
20点満点の審査において、銅賞ワインとは「14.0点以上15.5点未満を標準」を指します。
去年の結果を見ると、「甲州」部門において、136点のエントリー数のうち26点が銅賞を受賞しています。
奨励賞
20点満点の審査において、奨励賞ワインとは「13.0点以上14.0点未満を標準」を指します。
奨励賞に関しては、エントリー数が少なく、かつ入賞点数がかなり少ない場合に、「受賞全体の割合は、各部門エントリー数の40%までを標準」という目安のもと授賞しているようです。
部門最高賞
去年については、各部門の銀賞以上の中で、最高点のワインを部門最高賞(ただし、出品数が5点以上の部門のみ)としたようです。
全12部門のうち、9部門で部門最高賞を授賞していました。
コストパフォーマンス賞
去年は、各部門のうち銀賞以上を受賞した2,000円未満のものの中で、最高点のワインをコストパフォーマンス賞としたようです。
個人的には、このコストパフォーマンス賞を受賞したワインに注目していますし、おそらく多くの日本ワインファンにとって重要な存在になるのではないでしょうか。
・・・
賞についてはこんな感じ。
あとはどんな部門があるかですよね。
ざっと紹介していきます。
部門
■欧州系品種(赤・白)
■国内改良等品種(赤・白)
■甲州
■北米系品種(赤・白)
■欧州・国内改良品種等ブレンド(赤・白)
■極甘口
■ロゼワイン
■スパークリングワイン
といった感じ。
(赤・白)は別部門なので、計12部門あることになります。
各部門について、簡単に説明していきますね。
欧州系品種(赤・白)
ヴィティス・ヴィニフェラのブドウ部門ですね。
ヴィニフェラとは、ワイン醸造用品種として、古くから主にヨーロッパで栽培されてきた品種を指します。(属名:Vitis 種名:Vinifera)
赤では、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロー、ピノ・ノワール、シラーといった品種のワイン、白では、シャルドネやソーヴィニヨン・ブラン、リースリング、ケルナーといった品種のワインが出品されています。
国内改良等品種(赤・白)
主に日本国内で交配・育種されたブドウ品種のワインが出品される部門です。
赤では、マスカット・ベーリーAやブラッククイーン、甲斐ノワールといった品種、白ではリースリングフォルテやリースリングリオン、信濃リースリングといった品種のワインが取り扱われています。
赤においては、やはりマスカット・ベーリーAの生産量が多いことから出品数が多いのですが、白の国内改良品種はそこまでメジャーではないため、出品数が少ないです。
気候の影響をモロに受けるワイン用ブドウの栽培。
将来的には、日本の気候によりフィットした国内改良品種のワインが増えることが予想されます。
この部門はこれからさらに発展するのでしょうね。
甲州
言わずと知れた日本の「甲州」です。
入賞ワインの一覧を見ると、山梨のワインが多いこと多いこと。
山梨の「甲州」は日々レベルアップしているのですね。
北米系品種(赤・白)
ヴィティス・ラブルスカの血を引くブドウの部門です。
赤では、キャンベル・アーリーやコンコード、白ではナイアガラやデラウェアといった品種のワインが出品されています。
ラブルスカ系統品種の特徴といえば「フォキシーフレーバー」で有名です。
日本人はグレープジュースやグレープ味のガム、香料等で比較的この香りに慣れているため、あまり抵抗感なく飲める方が多いかもしれませんが、ヨーロッパのワイン旧世界と呼ばれる国々では異質であるようで、受け入れ難い場合があるようです。
また、これらの品種からプレミアムなワインが作られることはほとんどなく、甘口であったり軽いタイプのワインが多いです。
どちらかというと、初心者さん向けのワインかもしれませんね。
欧州・国内改良品種等ブレンド(赤・白)
これはもうその通りで、上記で説明したやつをブレンドしたワインが出品されます。
例えば、赤では、カベルネ・ソーヴィニヨンとマスカット・ベーリーAのブレンド。
白では、シャルドネと甲州のブレンド。
この部門は出品数がかなり少なく、もしかしたら、このブレンドでバランスのとれた美味しいワインをつくるのは難しい部分があるのかもしれません。
もしくは、あまりメリットがないとか。
いずれにしても、あまりメジャーなスタイルではなさそうです。
・・・
残りの部門については、もう名前の通りです。笑
一つ印象を述べておくと、日本ワインのロゼやスパークリングといったスタイルはまだまだ発展途上であるのかな、という感じ。
出品数が少ないのもそうですが、金賞・銀賞の数が著しく少ないです。
ロゼは価格が安くなってしまうし、スパークリングは手間がかかる。(瓶内二次発酵ならば)
それでも、日本ワインにおいてこれらのスタイルが盛り上がってくることは非常に重要だと僕は思います。
両スタイルとも写真映えするし、スパークリングに関してはお祝いの席でも登場しますよね。
こういうシーンで日本ワインが登場することが増えると良いですよね!
【ピックアップ】2018年度コストパフォーマンス賞受賞ワイン
最後に、2018年にコストパフォーマンス賞を受賞したワインの中から気になるワインをピックアップします。
NAC ピノ・ブラン 井筒ワイン
ホームページによると、
NAC(長野県原産地呼称管理制度)認定品シリーズ。
■長野県原産地呼称管理委員会の厳正な審査でその品質を認められた長野県産ぶどう100%ワインです。
信州の四季の気候や風土が育み織りなした確かな味わいをぜひ一度お試しください。
■ 塩尻市の自社及び契約農園にて収穫のピノ・ブラン種ブドウを醸造、瓶詰め。
■ 穏やかにバランス良く纏まったボディが心地好い、優しく落ち着いた辛口の白です。
ということで、完全に❝長野ワイン❞ですね。
ピノ・ブラン種は、フランスのアルザス等では比較的よく栽培されており、主にスパークリングワインに使用されているのですが、日本では栽培量の多い品種ではありません。
そのため、日本のピノ・ブランというのはやや珍しいと言えるでしょう。
どちらかというと、ライトで日本人好みの味わいかと思います。
とてもリーズナブルなので一度試してみてはいかがでしょうか。
柏原ヴィンヤード 遅摘み 赤 朝日町ワイン
国内改良等品種の赤部門で金賞・部門最高賞・コストパフォーマンス賞の3つの賞を受賞した、すんばらしいワインです!
ホームページによると、
山形県朝日町・柏原地区で契約栽培されたマスカットベーリーA種を糖度と果実味が十分に熟すのを待ち、11月上旬「遅摘み」収穫致しました。
山砂と粘土の土壌から生まれた濃色感のある原料ぶどう。
樽熟はしておりませんが完熟した濃密な果実味とスパイシーな香り、ふくよかでコクのある赤ワインに仕上がりました。
とのことで、ここまでの遅摘みはかなり珍しいです。
日本は気温が高いのと、最近の温暖化もあって、ブドウの糖度が上がるのが早く、酸も早々に落ちてきてしまうことが多いです。
そのため、どんどん収穫時期が早くなってきています。
これの問題点として、ブドウが十分に熟さないまま収穫しなくてはならないことが挙げられます。
しかし!このワインは、11月の気温が下がってきて涼しくなる時期まで熟す期間をとっています。
これにより、糖度や酸を維持したまま十分に果実を熟させることが可能となっているのです。
もしかしたら、山形の朝日町という気候だからできることなのかもしれません。
他のワインとはひと味違った、凝縮感や厚みを味わえるのではないでしょうか。
ちなみに、2019年7月9日現在、公式ホームページでは売り切れています...
グレイス グリド甲州 中央葡萄酒
このワインについては2年分のヴィンテージについて、記事を書いています。
ぜひチェックしてみて下さい!
【グリド甲州についての記事はこちら。↓】
スパークリング マスカットベーリーA ロゼ 朝日町ワイン
山形の朝日町ワインさんのスパークリングワインです。
ホームページによると、
山形県朝日町産マスカットベーリーA種を使用し白ワインの製造方法で醸造いたしました。
バラ、フルーツキャンデーなどの甘い香りが広がり、果実味・酸味のバランスが良い中口のロゼスパークリングワインです。
とのことで、ある程度甘みが残っているロゼのスパークリングワインです。
めちゃくちゃ写真映えすると思いますし、味わいとしても親しみやすいワインだと思いますよ!
女子会やプレゼントに向いてると思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、日本ワインの祭典、「日本ワインコンクール」について紹介しました。
2019年については7/17(水)~7/18(木)に審査会が行われ、9/1(日)に表彰式と公開テイスティングが行われます。
公開テイスティングのチケットは、先着順で「イープラス」にて、7/6(土)から販売開始されたのですが、気付いたら一瞬で売り切れてました...(´;ω;`)
日本ワインが盛り上がってきている証拠だと思って自分を慰めています...
受賞ワインについては、第1回から(2019が第17回)ホームページで確認できるので、1度確認してみて下さい。
いま評価されている日本ワインを知ることができますよ!
また、審査結果が公開されると、特に金賞ワインは一気に売り切れる場合があります。
気になるワインがあったら早めにご購入されることをオススメします!
おわりに
これからも日本ワインに関する情報を紹介していきたいと思います!
引き続きよろしくお願いいたします!
(※本記事では、Japan Wine Competition の公式ホームページから画像をお借りしています。)
byワイン兄さん
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